安全保障輸出管理:STC (Security Trade Control)について個人的に基本的な部分をまとめました。
貨物の輸出とは?
貨物を外国へ向けて送付するために、船舶又は航空機に積み込んだ時
日本の輸出規制は?
外為法 48条 貨物 ⇒ 輸出令
外為法 25条 技術 ⇒ 外為令
日本の安全保障輸出管理は?
大量破壊兵器・・・AG MTCR NSG
通常兵器 ・・・WA
武器輸出三原則
国際輸出管理レジームまとめ
条約 | レジーム | 契機 | 規制 |
---|---|---|---|
BWC 生物兵器禁止条約 | AG | イランイラク戦争 | 生物兵器転用可能な汎用品 |
CMC 化学兵器禁止条約 | AG | イランイラク戦争 | 化学兵器転用可能な汎用品 |
NPT | NSG | インド核実験 | 核兵器転用可能な汎用品 |
ー | MTCR | イランイラク戦争 | ミサイル・無人機 |
ー | WA | 湾岸戦争 | 通常兵器 |
リスト規制とは?
外為法48条 輸出令別表第1~15の貨物に対する規制
外為法25条 外為令別表第1~15の技術に対する規制
キャッチオールの規制とは?
“Know規制”
リスト規制は、民生使用なのでOKとかはない。
区分 | 地域 | インフォーム要件 | 用途・需要者要件 |
---|---|---|---|
大量破壊兵器 | ホワイト国以外 | 〇 | 〇 |
通常兵器 | 禁輸紛争国 | 〇 | 〇 |
通常兵器 | 上記以外(ホワイト国除く) | 〇 | ー |
輸出令別表第1の1~15のイメージ
1:武器 2:原子力 3:化学・生物兵器 4:ミサイル
5:先端材料 6:材料加工 7:エレクトロニクス
8:コンピュータ 9:通信関連 10:センサー・レーザー
11:船法関連 12:海洋関連 13:推進装置
14:その他 15:機微品目
1~4は、大量破壊兵器関連
5~15は、通常兵器関連(⇒ ワッセナー・アレンジメント対象)
※1~15のどれかに当てはまるなら、16に該当しない。
輸出令別表第3とは?
ホワイト国 4つの国際レジーム全てに参加かつ厳格な輸出管理を実施。
⇒ ホワイト国の場合、キャッチオールの規制対象外
輸出令別表第4の地域とは?
大量破壊兵器等の拡散の懸念のある地域を指す。
イラン イラク 北朝鮮
※全面輸出禁止は、北朝鮮のみ
※過去には、リビアも入っていた。
WA(ワッセナーアレンジメント)の目的は?
域紛争防止の観点から、通常兵器の過度な地区の防止を目的とする。
⇒ 通常兵器及びその開発・製造・使用に供される
おそれのある汎用品(技術)を含む輸出管理レジーム
※国や地域だけでなく、テロリストなどの集団もダメ。
特例とは?
貨物:輸出令第4条第1項の特例
⇒ 少額特例
※リスト規制のみが対象。ただし、リスト規制品 第1の1項、2~3項、14項は利用できない。
⇒ 無償特例
※リスト規制品もOK
技術:貿易外為令第9条第2項の特例
⇒ 不特定多数が聴講可能な場での発表や基礎科学分野
※誰でも【購入】できるソフトウェアは、特例の範囲外
※非リスト規制技術を対面回答する場合は、キャッチオールの対象外。
少額特例・・・役務(技術)はなし。貨物のみ。
キャッチオールの客観要件に該当(ホワイト向けは問題なし)
または、インフォーム時は無効。
※少額特例利用時も、キャッチオールの確認が必要。
項の()毎に総額を定める。
外貨の場合、契約締結日の属する換算レートを適用
無償品は、税関により価値判断される。
無償特例の例・・・修理後の再輸出(北朝鮮は除く)
通い容器
PC(本人使用)
日本開催の展覧会の出品物で、返送するもの。
⇒ 日本から海外への出品はダメ。
※0円かどうかは、税関の判断に基づく。
輸出許可のパターンは?
個別許可
包括許可 一般包括許可
特別一般包括許可
特定包括許可
特別返品等包括許可
特定子会社包括許可
※包括許可
⇒ 許可証の分割あり・・・各地の税関で許可証を使用できるように。
※特定包括許可の特徴
⇒ 同一相手に特定の貨物・技術の取引に関する一括許可。
輸出実績の報告義務あり
※特別一般包括許可の特徴
⇒ キャッチオール品のホワイト国への大量破壊兵器用途は許可は不要。ただ、ホワイト国向けであっても、核兵器開発時には、許可が無効となるケース有
許可の申請先は?
一般包括許可 ⇒ 経済産業省経済産業局 or 沖縄総合事務局 or 通商事務所・商品輸出担当課
※電子申請が前提、ホワイト国向け限定、輸出管理内部規程整備は必須ではない
特別一般包括許可⇒ 経済産業省経済産業局 or 沖縄総合事務局 or 通商事務所・商品輸出担当課
※特別一般包括許可の場合、輸出令別表第1の1は対象外となる。
キャッチオール ⇒ 経済産業省 安全保障貿易審査課
特定包括許可 ⇒ 経済産業省 安全保障貿易審査課
特別返送 ⇒ 経済産業省 安全保障貿易審査課
特定子会社 ⇒ 経済産業省 安全保障貿易審査課
輸出管理内部規定の届け先は?
経済産業省 貿易経済協力局 貿易管理部
安全保障貿易管理課 安全保障貿易検査官室
輸出許可の有効期間は?
個別申請
有効期間:6か月 ※事情考慮有り。事前延長申請可能
一般包括許可
特別一般包括許可
有効期間:3年以内、経済産業大臣が定めたもの
核兵器等開発等省令とは?
核兵器等開発等省令 第一号:用途要件
核兵器等開発等省令 第二号:需要者要件
核兵器等開発等省令 第三号:需要者要件
別表一:核燃料、核原料の開発、核融合の研究
別表二:原子炉又はその部品、付属装置の開発
※ 発電用の軽水炉を除く
別表三:重水の製造
別表六:化学物質の開発、製造、
微生物、毒素の開発等
ロケット、無人飛行機の開発等
宇宙に関する研究
軍、国防に関する事務の行政機関から委託が明確
文書の保管期間は?
輸出令別表第1~4(外為令別表1~4):7年
輸出令別表第5~15(外為令別表5~15):5年
※返送に関しては、7年
不正時の罰則は?(未遂もダメです)
核 他軍事 民生
外為法 69条の6第2項 69条の6第1項
罰金 3000万以下 or 2000万以下 or 1000万以下
価格の5倍まで 価格の5倍まで 価格の5倍まで
法人10億円 法人7億円 法人5億円
懲役 10年以下 7年以下
※3年間、貨物・技術の提供禁止の行政制裁
居住者の定義とは?
【日本人で非居住とされるケース】
⇒ 外国の事務所に勤務
⇒ 2年以上外国に滞在
⇒ 一時帰国かつ6か月未満
⇒ 外国大使館に勤務
【外国人で居住とされるケース】
⇒ 国外の事務所勤務
⇒ 入国後6か月以上経過
仲介貿易の規則は?
輸出令別表第1の1 ⇒ 許可必要
輸出令別表第2から16 ⇒ 出入どちらかが非ホワイト国 and インフォーム or 大量破壊兵器開発情報 ⇒ 許可必要
それ以外 ⇒ 許可不要
仲介貿易の規制は?
⇒ 外為令
※海外現地法人は独立した法人のため、規制対象は支店や事務所。
ストック販売は?
■ ホワイト国は問題なし
■ 非ホワイトは、以下必要。
・需要予定者の確認が必要
・包括許可適用できない地域への販売がない事を確認
特別一般包括許可のパターン
区分 | 仕向地 | 核兵器等の開発等 | その他の軍事用途 |
---|---|---|---|
用いられる場合 | 輸出令別表第3の地域 | 失効 | 報告 |
上記以外 | 失効 | 失効 | |
用いられる恐れがある場合 | 輸出令別表第3の地域 | 失効 | ✖ |
上記以外 | 失効 | ✖ | |
用いられる疑いがある場合 | 輸出令別表第3の地域 | 届出 | 報告 |
上記以外 | 届出 | 届出 |
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